日本映画全盛期の1950年代、宝塚市が映画の都として栄えた歴史を伝える「第24回宝塚映画祭」が11月3~9日、同市売布2のミニシアター「シネ・ピピア」で開かれる。かつて武庫川町にあった宝塚映画製作所で作られた名作7本のほか、今年1月に亡くなった同市出身の映画監督、龍村仁(じん)さんが手がけたドキュメンタリーシリーズなど計11本が公開される。(西尾和高)
1938年、阪急東宝グループの創始者小林一三が市内に映画製作所を開設。その後、太平洋戦争や火災など曲折を経て、56年に最新設備の新撮影所がオープンした。映画製作は阪神・淡路大震災があった95年まで続き、劇場映画176作、テレビ映画3200作を残した。市の映画史を語り継ごうと、同製作所のOBら10人でつくる実行委員会が2000年から毎年映画祭を主催している。
宝塚で作られた映画から、直木賞作家の故山崎豊子さんのデビュー小説を映画化した「暖簾(のれん)」(58年)や加山雄三さんが英語教諭を演じる「何処(いずこ)へ」(66年)、養父市出身の作家、故山田風太郎さん原作の時代喜劇「風来忍法帖 八方破れ」(68年)を上映する。他には、犯罪喜劇「カモとねぎ」(同)や「太陽を抱け」(60年)、「血とダイヤモンド」(64年)、「団地 七つの大罪」(同)がある。
また、関西映画として芦屋を舞台にした故高峰秀子さん主演の「細雪」(50年)と大阪で撮影された「わが町」(56年)を上映する。龍村監督をしのび、自然と人間をテーマにしたドキュメンタリー「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」シリーズの第3番(97年)、遺作となった第9番(2021年)を公開する。
シネ・ピピアTEL0797・87・3565