脳挫傷などの後遺症で嚥下障害となった吉岡大地さん(右)との体験を語る父の正行さん(中央)=尼崎市南塚口町4
脳挫傷などの後遺症で嚥下障害となった吉岡大地さん(右)との体験を語る父の正行さん(中央)=尼崎市南塚口町4

 物を食べたり飲み込んだりするのが難しい「嚥下(えんげ)障害」について知るイベント「嚥下フェス」が、尼崎市南塚口町4の市民健康開発センター「ハーティ21」であった。当事者らが飲み込みやすく調理された「嚥下食」と出合い、食べる楽しみを取り戻した体験などを語り、約120人が聞き入った。(地道優樹)

 高齢化や病気などで嚥下障害がある人は増加傾向にあり、支援のあり方を考えるきっかけになればと、同市のNPO法人「摂食嚥下問題を考える会」が初めて企画。トークイベントには当事者やその家族、嚥下食を提供する飲食店主ら8人が登壇した。

 奈良県三郷町の山口通子さん(77)は2年前にのどにがんが見つかり、チューブで直接胃に栄養剤を入れる「胃ろう」で食事を取るようになった。口から食べられるのは豆腐やプリンぐらいで、「食に対しては諦めていた」という。