姫路

  • 印刷
生徒らの手で美しい姿によみがえったクラシックカー=県立ものづくり大学校
拡大
生徒らの手で美しい姿によみがえったクラシックカー=県立ものづくり大学校

 兵庫県立ものづくり大学校(同県姫路市市之郷)の金属塗装コースで学ぶ生徒たちが、70年前に製造された外車「リンカーン」の外装を美しくよみがえらせた。かつて日本映画の撮影にも貸し出されたことがある名車で、所有する男性の車庫で20年近く眠っていた。生徒は「古くても手入れ次第でこんなにも格好良くなる」と達成感をかみしめている。(小林良多)

 リンカーンは米大統領専用車にも採用された高級車ブランド。同校で修理されたのは1949年製「リンカーン スポーツセダン」で、全長5メートル30センチ、幅1メートル90センチ、排気量5500ccと「アメ車」らしいビッグサイズの規格を誇る。

 同校に持ち込まれたのは今年2月。職業訓練指導員の碇金(いかりがね)道明さん(58)が自動車販売業を営む同県加古川市の知人男性(57)から教材車として借り、修理の実費をもらい受けることになった。男性は旧車好きで30年前にリンカーンを購入。映画撮影用として東映に貸し出したこともあるという。

 通常、同校の塗装実習では国産車の廃車などを利用する。一方で過去には昭和の三輪車ミゼットや日産フェアレディなどの旧車を扱ったことも。クラシックな姿が刺激となり、生徒たちは目の色を変えて実習に取り組んだという。

 碇金さんは「塗装を学ぶ子が車好きとは限らない時代。車への興味を広げる機会になる」との思いを深め、提供してくれる次のオーナーを探してきた。

 リンカーンの修理には昨年度から生徒計23人やOBらが携わった。厚い鉄板でできた車体は全体にさびが広がってトランクには穴も。電動サンダーで表面を磨き、鉄板やパテで傷んだ箇所を修復する下地作業を徹底。丸みを帯びた姿をほぼ原形通りに復活させた。

 本年度は塗装を仕上げる予定だったがコロナ禍で入学時期が遅れ、8月になってようやく作業に取り掛かることができた。元は単色だったが、新たにボディーはアイボリー、屋根はチョコレート色に変更。おしゃれなツートンカラーに生まれ変わり、一層存在感が増した。

 生徒の男性(35)は「ピカピカになるのが気持ち良かった」と振り返り、「表面のゆがみの確認など感覚を使った作業。貴重な経験を就職先でも生かしたい」と抱負を話した。

 県立ものづくり大学校では来年2月まで毎週火曜日に入学希望者向けの見学会を開く。修理を終えたリンカーンは1月中旬ごろまで参加者に公開する。同校TEL079・240・7077

姫路
姫路の最新
もっと見る
 

天気(9月8日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 40%

  • 33℃
  • ---℃
  • 50%

  • 34℃
  • ---℃
  • 20%

  • 34℃
  • ---℃
  • 40%

お知らせ