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従業員から贈られたアルミ製の博士帽をかぶる澤田脩一会長と百合子さん=姫路市
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従業員から贈られたアルミ製の博士帽をかぶる澤田脩一会長と百合子さん=姫路市
神戸新聞に掲載された澤田百合子さんの投稿
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神戸新聞に掲載された澤田百合子さんの投稿

 神戸新聞の発言欄に今春、兵庫県姫路市の70歳女性から投稿があった。夫が74歳で経営学の博士号を取った、と。聞けば、金属加工のサワダ精密(姫路市)を創業した澤田脩一会長のことだという。高校卒業後、青果店開店や転職を重ねて独立。社員約90人を抱える会社へと育て、同県中小企業家同友会の代表理事も務めた名物経営者だ。論文執筆へと駆り立てた思いとは-。(段 貴則)

 澤田さんと妻百合子さんは同県豊岡市出身。ものづくりが好きだった澤田さんは、姫路工業大学付属高校(現姫路工業高)に進み、自動車修理工場に就職。青果店経営を経て、機械設計の会社や鉄工所で働き、ものづくりの現場で腕を磨いた。

 サワダ精密を起こしたのは36歳のとき。マイホームを建てたばかりで、2人の子どもはまだ幼かった。1年間、百合子さんと相談しながら準備を進めた。金属加工の将来を見据え、コンピューターを使った工作機械を導入したが、当時は市場に新品しかなく、自宅と同じ価格で購入。自宅の権利書を持って、運転資金の調達にも奔走した。会社は経営者兼従業員の澤田さん1人。百合子さんは「電話番」として支えた。

 「前職の客に頼らなかったから、電話もかかってこない」(澤田さん)状況だった。技術を買われ、次第に大手企業との取引が増え、事業を拡大。経済団体での活動も担うようになった。66歳で会長に引き、長男洋明さんに経営を託した。

 一線を引いたのを機に、旧知の兵庫県立大教授から大学院での研究に誘われた。「心血を注いだ創業や経営を論文に残したくなった」と挑戦を決めた。

 百合子さんは会社の資料探しを手伝い「一緒に会社の歩みを振り返るのは楽しかった」。「妻がいなければ、会社は大きくなっていないし、私も博士になれなかった」と笑う澤田さん。論文は自伝的な物語を広く社会への還元しようとする客観的な手法で仕上げた。今も手直しを続け、将来、出版したいという。

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