姫路

  • 印刷
関西陸運の新社屋。ホーム出入り口とも直結している=姫路市相野
拡大
関西陸運の新社屋。ホーム出入り口とも直結している=姫路市相野
解体前の旧駅舎=姫路市相野(2021年3月)
拡大
解体前の旧駅舎=姫路市相野(2021年3月)
ロータリーの花や芝生に水をやる地域住民たち=姫路市相野
拡大
ロータリーの花や芝生に水をやる地域住民たち=姫路市相野
駅舎が改装された東觜崎駅=たつの市神岡町大住寺
拡大
駅舎が改装された東觜崎駅=たつの市神岡町大住寺
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT

 のどかな田園風景が広がるローカル線の無人駅に、人が集まり始めている。JR姫新線の太市駅(兵庫県姫路市相野)だ。昨年秋、地元企業が駅直結の社屋を建設し、移転したのがきっかけ。地元の自治会や企業、自治体、鉄道事業者が連携した駅の再生は「全国初」とも言われる。地方交通のあり方が検討される中、生まれ変わった駅をまちづくりの核に位置づけた取り組みは、播磨で広がりつつある。(山本 晃)

 日中の熱気が残る午後6時の太市駅前。新しく整備されたロータリーに、じょうろを持った女性たちが集まってきた。グループをつくり、雨の日以外はほぼ毎日、駅前に植えられた草花へ水をやっているという。その一人、駅近くに住む寺田美智子さん(67)は「『いい駅になったね』と声を掛けられることも増えた。レストランも混んできて、人が集まる場所になってきた」と喜ぶ。

 駅を核としたまちづくりの検討は、約5年前から始まった。30年以上前に無人化され、利用客は姫路市内でも最少クラス。それでも、この場所を活性化の拠点にしようと考えた。「駅は地域の宝。ここを中心になんとかしてにぎわいを取り戻し、少子高齢化を食い止めたかった」。太市地区連合自治会長の梅元義昭さん(80)も振り返る。

 市によるロータリーや駐輪場整備に伴い、地域の要望などもあり、地元の運送会社、関西陸運が「駅」への移転を決めた。JR、市、自治会とも協定を結び、全国的にも珍しい形態が生まれた。

     ◆

 「地域貢献を進め、物流業界のイメージを変えたかった」。太市駅前を一望できる社長室で、関西陸運の井田正勝社長(57)が移転のねらいを語る。同社は1992年に創業し、98年に駅北側の石倉地区に本社を構えた。立地は山陽姫路西インターそばで、物流拠点としては申し分ない。ただ、商談の利便性や採用活動を考え、姫路駅前などへの本社機能移転も考えていたという。

 2021年秋、旧駅舎跡地に地上2階建ての新社屋を建てた。ホームへの出入り口に直結し、1階には同社が運営するレストラン「ポラリス」が入る。当初は空席が目立ったが、最近はランチタイムを中心に満席になるとか。地元の野菜や地場産品を販売するコーナーもあり、住民が採れたての野菜を持ってきた後、レストランでくつろぐ姿が日常になりつつあるという。

 近隣から訪れる客は自動車利用が多いが、京阪神などから姫新線に乗って訪れる客もいるという。井田社長も移転を機に列車通勤に切り替えた。「朝夕は本数もあり、時間に正確。ドアツードアではないが、(列車通勤も)ありだなと感じた」と語る。

 新型コロナ禍の制約はあるものの、社屋をプロジェクションマッピングで装飾したり、地元特産のタケノコの販売イベントを開いたりと、地域との交流や連携を続ける。調整役を担う山浦久子専務(51)も「まちおこしの拠点として、地元の期待を感じる。人が集う企画や取り組みを続けたい」と意気込んでいる。

     ◇     ◇

■他駅でも交流拠点設置

 姫新線や沿線の活性化に向け、自治体が主体となり、駅舎に地域交流の場を併設する動きもある。

 太市駅から西に2駅隣にある東觜崎(ひがしはしさき)駅(同県たつの市神岡町大住寺)もその一つ。今年6月に、駅舎内にコミュニティースペースが完成した。今後、駅を中心としたまちづくりの拠点として、地域住民らが中心となり活用されるという。

 同市などが進める、駅周辺の改良事業の一環。地元の要望もあり、ロータリー整備や駅舎外観の更新に合わせ、かつて駅員室だったスペースを改装した。駅北側にはイベントなどに使える緑地広場も設けられた。

 同市内では、こうした地域の交流拠点が駅に設けられているのは、本竜野駅(同市龍野町中村)に次いで2例目。今後、改良工事が予定されているJR山陽線の竜野駅(同市揖保川町黍田)でも、駅舎を地域向けに活用することを検討しているという。

姫路西播
姫路の最新
もっと見る
 

天気(10月24日)

  • 24℃
  • 16℃
  • 0%

  • 22℃
  • 11℃
  • 0%

  • 24℃
  • 13℃
  • 0%

  • 24℃
  • 12℃
  • 0%

お知らせ