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ギザギザ花びら、重要な「虫の足場」だった 姫路市植物園や神戸大、長年の謎を解明

2022/07/13 05:30

 花びらが羽を広げたシラサギに見えることから、姫路城(白鷺城)にちなんで兵庫県姫路市の市花に制定されているサギソウ。その特徴的なギザギザの花びらは、花粉を運ぶ昆虫がつかまりやすくするためだったとの研究成果を神戸大や市立手柄山温室植物園(同市手柄)などのチームがまとめた。これまでは受粉の際の目印と考えられてきたが、昆虫の足場として種の保存に大きく関わっていた。(森下陽介)

 本州以南の日当たりのいい湿地に分布するラン科の植物で、夏には3センチほどの小さな花を咲かせる。都市化や乱獲などで数を減らし、環境省が準絶滅危惧種に指定している。

 サギソウの花粉はガの一種、スズメガが主に運ぶ。スズメガは空中でホバリングしながら蜜を吸うことから足場は不要とされ、花の形は昆虫を誘う目印と推測されていた。

 チームはまず、ギザギザを切除したサギソウと通常のとを比較した。果実をつける確率に変わりはないものの、切除した方は果実1個あたりの正常な種子数が減少した。スズメガが花を訪問する頻度は変わらず、受粉に影響があることを示している。

 そこで受粉の様子を観察したところ、ホバリングしていると思われていたスズメガが、花びらに必ず脚をかけていたことが判明。切除した場合は、うまく脚をかけられず受け渡される花粉量が減ったことで種子数も減少したと結論づけた。

 研究成果は米科学誌「エコロジー」のオンライン版に発表。チームの一員で同植物園の朝井健史副園長(51)と松本修二研究員(68)は「長らく謎とされていたギザギザの意味を明らかにする画期的な研究になった」と喜んでいる。

 同植物園では8月13日から25日まで毎年恒例の「市花さぎ草展」を開催予定。丹精した約200点を展示する。

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