法律の改正について思いを語る障害者差別解消法ネットワーク代表の草津良さん(右)と村上昭人さん=姫路市飾東町庄
法律の改正について思いを語る障害者差別解消法ネットワーク代表の草津良さん(右)と村上昭人さん=姫路市飾東町庄

 タブレット端末を使った意思疎通や説明会での手話通訳者の配置など、障害のある人の社会的な障壁を取り除く対応「合理的配慮」が、4月1日から民間事業者にも義務化される。企業や店舗は障害者から対応を求められれば、対話を重ねて解決策を検討することが必要となる。姫路市内の当事者や支援者は「困っていれば声をかけ、一緒に対応策を考えられる社会になってほしい」と期待する。(田中宏樹)

 2021年に障害者差別解消法が改正され、今年4月から事業者による「合理的配慮」の実施が努力義務から義務に引き上げられる。飲食店や企業などは車いすのまま利用できるスペースの確保や、視覚障害がある人にサービスの内容を読み上げて説明するなどの配慮が求められる。

 姫路市の委託を受け、当事者や支援者らでつくる「障害者差別解消法ネットワーク」は毎年、同法を周知するイベントを開催。希望する企業に出向いて、求められる対応などを説明する研修会も開く。

 「昔は車いすでの入店を飲食店に拒否されたこともあった」と、同ネットワーク代表で脳性まひがある草津良さん(45)は明かす。最近でも車いすで生活するメンバーがスーパー銭湯で入店を断られたり、介助を受けて乗車に時間を要したバスで「ご迷惑をおかけしました」という車内放送に心が傷ついたりしたといい、健常者と同じように暮らすための壁が今も残っていると指摘する。

 義務化に備え、内閣府は「合理的配慮」の取り組みの具体例をホームページで紹介。姫路市も同ネットワークに委託する研修会の参加企業を随時受け付ける。

 草津さんは「当事者と事業者が互いの立場に寄り添い、より良い対応を探っていければうれしい。そのためには、障害のある人たちも法律を学ばないといけない」と強調した。

 市障害福祉課TEL079・221・2454