学生服を着て主役の女性従業員を熱演する高城力也さん=多可町八千代区中野間
学生服を着て主役の女性従業員を熱演する高城力也さん=多可町八千代区中野間

■経験を生かす土壌あった

 「お父上、お母上、私、頑張る」。多可町八千代区を拠点とし、2024年に結成された演劇集団「本山一座」。看板俳優を務めるのが、たかぎウォーキング力也(本名・高城力也)さん(55)だ。

 演じるのは、最盛期の播州織工場に来た女性従業員の奮闘を描いた「ガチャマンとガチャマンダー」。高城さんが学生服を着て女性従業員役を演じると、地元の観客は大盛り上がり。「初めは恥ずかしさもあったけど、喜んでもらえる姿を見て吹っ切れた」。いまや地域にすっかり溶け込んでいる。

 島根県生まれ、宮城県育ち、中京大卒。元々、名古屋市で整体治療を仕事にし、介護予防の一環として高齢者の運動機能向上にも関わっていた。「自分の技術を生かし、移住にもつながれば」と行き先を探していた2020年、多可町の地域おこし協力隊に応募。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、リモートで積極的に話を進めてくれた同町に縁を感じた。

 着任後は多可の森健康協会が実施するクアオルト(健康保養地)認定コースでの「健康ウォーキング」で、主にガイド役を担った。当初は方言と地名が覚えられず、「電話を取るのが怖かった」という。だが、各地でコースを歩くうちに慣れていった。