高校生として最後の公演で演奏するメンバー=5月2日、神戸・三宮のVARIT.(提供)
高校生として最後の公演で演奏するメンバー=5月2日、神戸・三宮のVARIT.(提供)

 小野高校(小野市西本町)の音楽部に所属した3年生男子5人のバンド「THE FATS」が「ラストライブ」を終え、受験勉強のため、活動を休止した。関西の大学に進んでの活動再開を目指す。顧問の藤岡徹教諭(44)は「互いの演奏に引かれて巡り合い、音楽レベルは想像を超えた」と振り返る。急成長し、注目を浴びたバンドとの出会いに感謝した。(坂本 勝)

■マネジャー役、動画発信を提案…裏方としてサポート

 北条中出身のYota(石原陽太)さんとKota(桜井康)さん、三木中出身のRenya(太田蓮哉)さんとTaichi(中濱太智)さん、西脇中出身のSota(笹倉壮太)さんで2008年度生まれ。ビートルズとオアシスを中心に英国ロックを演奏し、ユーチューブ総再生回数は220万回を突破。クラウドファンディングで寄付を募り、東京で単独ライブも実現させた。NHKクローズアップ現代の「オアシス特集」や「おはよう関西」に取り上げられ、フジテレビ系列の番組「新しいカギ」などテレビやラジオにも多数出演した。

 小野高校は卒業生の8割以上が国公立や私立大学などに進む。4月末の文化祭「蜻蛉(せいれい)祭」を区切りに3年生が引退し、受験勉強に専念する文化部は多い。FATSも高校生での活動期限を26年5月とし、音楽をやり切る決意を固めていた。

 高校生として最後の公演は5月2日、神戸・三宮のライブハウスであった。チケットは完売し、これまでで最多の観客300人で埋まった。約20曲中、オリジナルの8曲も披露。アンコールはユーチューブで絶賛を浴びたビートルズの「ツイスト・アンド・シャウト」で締めくくった。

 藤岡さんはマネジャー役としても多忙な日々を送った。自身のバンド経験からユーチューブチャンネルを複数持ち、動画編集にも慣れていて発信を提案した。スタッフとして支える生徒3人も現れた。音響や動画撮影、ポスターやグッズ作りなどに力を尽くした。

 藤岡さんには忘れられない光景がいくつかある。24年、メンバーのうち4人がビートルズの曲を初めて奏でた時、練習していた教室の雰囲気が一瞬にして変わった。25年の文化祭前には全員がインフルエンザにかかった。体調が悪い中、オアシスの曲を演奏するメンバーを助けるように、サビの部分で会場から大合唱が自然に巻き起こった。

 藤岡さんは「学校に行きづらかったメンバーも居場所ができ、声援を受けて成長した。自分の夢をFATSがかなえてくれた」と話した。