創業の地に立つ店を受け継いだ5代目店主、松井隆昌さん=中央区元町通6
創業の地に立つ店を受け継いだ5代目店主、松井隆昌さん=中央区元町通6

 「歩き続けていたら、伝統になりました」。瓦せんべいの元祖・亀井堂総本店(中央区元町通6)の店先には、創業150年を記念した真新しいのれんがかかる。初代・松井佐助が2畳ほどの小さな店を構えたのが、この場所だという。無名の欧風菓子から、神戸銘菓として全国へ広がっていった瓦せんべい。その過程を取材してみると、ここにも佐助の戦略があった。

 店がある神戸元町商店街は、創業時、西国街道と呼ばれていた。東には外国人居留地、西には湊川神社があった。佐助はリヤカーで売り歩いたという。