ぬいぐるみに囲まれる福島心春ちゃんの祭壇。妹の柑奈ちゃんを抱く正人さん(左)と利恵さんは支援に感謝する=兵庫県佐用町
ぬいぐるみに囲まれる福島心春ちゃんの祭壇。妹の柑奈ちゃんを抱く正人さん(左)と利恵さんは支援に感謝する=兵庫県佐用町

 小児がんの一種「神経芽腫(がしゅ)」を患い、イタリアでの最新治療を目指していた福島心春(こはる)ちゃん(7)=兵庫県佐用町=が10月20日、この世を去った。治療のためのクラウドファンディング(CF)や街頭募金などには計約8800万円が寄せられ、両親は「感謝してもしきれない」と話す。善意をつなぐため、残された寄付金を小児がん患者や家族を支える団体・施設に贈るという。(金 慶順)

寄付8800万円、両親「人の温かさに触れた」「治療頑張る子どもに使って」

 心春ちゃんは3人きょうだいの長女。元気で川遊びが大好きだったが、4歳のときに高熱や体の激しい痛みを訴え、神経芽腫と診断された。県立こども病院(神戸市中央区)で治療を続け、一時は退院したが再発後すぐ全身に転移。特異な症例だった。

 その後の抗がん剤治療で腫瘍は縮小したが、根治療法がない中、父の正人さん(38)と母利恵さん(38)は、神経芽腫を患う9歳の女児が日本からイタリアに渡り、最新の細胞療法を受けたことを知った。「わずかでも(完治の)可能性があるなら」。現地の病院とやりとりし、臨床試験への参加が認められた。