西宮、尼崎の市境を流れる武庫川。遠くに六甲山を望む(武庫川河川敷から撮影)
西宮、尼崎の市境を流れる武庫川。遠くに六甲山を望む(武庫川河川敷から撮影)

 武庫、務古、牟古、六兒、武古、無古-。六甲山はかつて「むこやま」と呼ばれ、この「むこ」に当てられた漢字は相当数あったようだ。「六甲」はその一つに過ぎず、比較的新しい。

 固有名詞は一つの漢字に一つの読み方というのが現代の感覚。「むこ」に、これほど漢字が乱立したのにはわけがある。

 「かつては平仮名を使わずに漢字で文章を書くことも多くありました。だから、会話で『むこやま』と聞いてそれを文字にしたとき、いろんな漢字が使われたんですよ」。神戸大学名誉教授の神木哲男さんが解説する。