きらめく水面を覆う、こんもりとした木々、その向こうには青空と高層ビル群がのぞく。都心の中にひっそりとたたずむオアシスだった、王子公園(灘区)の王子プール。同園の再整備に伴い、9月1日の営業を最後に姿を消す。
1960(昭和35)年、王子動物園に隣接して開場した。85年のユニバーシアード神戸大会など、かつては国際大会の会場にも。50メートル、25メートルプールに水深30~60センチ程度の幼児用プールを有し、夏季の約2カ月間で営業。子どもから大人までが集う、憩いの場となっていた。
神戸市は、ポートアイランドスポーツセンターの屋内プールの機能拡張を図る一方で、王子プールは9月にも解体工事に入る。跡地は王子動物園のサバンナゾーンとして整備し、2027年夏のオープンを予定する。プール周辺の木々の景観は継承するという。
64年の歴史に幕を下ろす日が近づく中、晴天の下で浮輪やボールを持った親子連れらが来場。木陰にシートを広げ、時折、休息を取りながら水遊びを楽しんでいた。(長嶺麻子)