菊正宗の宮水井戸から水をくむ阪神・淡路大震災の被災者=1995年2月13日(スミカワ研究所提供)
菊正宗の宮水井戸から水をくむ阪神・淡路大震災の被災者=1995年2月13日(スミカワ研究所提供)

 最も冷え込む12~2月、神戸、西宮の酒どころ「灘五郷」の酒造りは最盛期を迎える。だが1995年1月17日、阪神・淡路大震災が景色を一変させた。タンクからは大量の酒があふれ、蔵元独自の味わいを生み出す酵母を宿す蔵は倒れた。伝統的な風景とともに脈々と受け継がれてきた酒文化は打撃を受けた。