民家火災で住人の60代女性を適切に避難誘導したとして、神戸市垂水区の千鳥が丘小学校6年生、山中晴(はる)さん(12)に兵庫県の善行賞「のじぎく賞」が贈られた。下校中に煙が出ているのを見つけ、小学校まで寄り添った。
火災は7月8日午後3時半過ぎ、千鳥が丘小にほど近い木造平屋の民家で発生した。山中さんは、下級生らが「煙が出ている」と話しているのを聞いて異変に気付いたという。
安全のために下級生を帰らせると、駆け足で自宅に帰り、自分のスマートフォンを手に再び現場へ。火炎が上がる民家の前でとっさに110番通報した。
指令員が出るなり「火事です」と伝え、現場の位置関係や状況などを説明。程なく、民家から女性が飛び出してきたため、落ち着かせながら小学校まで一緒に避難した。
学校に着くと、先生が出てきた。山中さんは煙を吸っており、救急車で運ばれたが、けがはなかった。民家は全焼したものの、女性も無事だった。
とっさの行動だったという山中さんは「自分がやらないと、と思った。おばあちゃんが助かって本当によかった」と笑顔。受賞を伝達した垂水署の柱谷昌彦署長も「大人でもなかなかできることじゃない。勇気ある行動がすばらしい」とたたえた。
一方で、山中さんは反省点もあったと振り返る。スマホを取りに帰った時、自宅には母親もいたが、夢中で現場に戻ったという。母親は救急車での搬送時に付き添ってくれたといい「もしも同じことがあったら、全部1人でやるんじゃなくて、家族や周りの大人を頼りたい」と話した。(児玉芙友)