歴史上初めて女性として射手を務めた松下亜未さん=神戸市北区淡河町勝雄、淡河八幡神社
歴史上初めて女性として射手を務めた松下亜未さん=神戸市北区淡河町勝雄、淡河八幡神社

 無病息災や必勝開運を祈願する「御弓神事」が、北区淡河町勝雄の淡河八幡神社であった。鎌倉時代から続く伝統的な作法にのっとった神事で、県の重要無形民俗文化財にも指定されている。射手は地域の若者4人が選ばれるが、今年は800年を超える歴史のなかで初めて、女性の射手が弓を引いた。(村上貴浩)

 1223年に始まったとされる神事。かつては真夜中に執り行われていたというが、この日は朝から準備を始めた。宮司が巨大な的の中心に「鬼」と筆で書き、その上から黒く塗りつぶして封じる儀式をした。

 4人の射手は近くの滝で身を清めた。午後には2人ずつに分かれて的と向き合い、弓の先端で足元に障害物がないかを確かめ、弓と矢を掲げて損傷の有無を確認するなど、古式の所作を一つ一つたどっていく。いざ矢を放つと空を切る音が響き、命中すると歓声が上がった。

 地域から若者が少なくなるなか、女性として初めて射手に選ばれた近くのユリ農家の松下亜未さん(30)は、弓道未経験ながら、この日のために特訓を重ねてきたという。「堂々と振る舞うことを意識して、これからの女性射手の先駆けになれるようにという思いで臨んだ」と話し、放った矢を見事、的に命中させた。

 灘区福住通から父親と訪れた中学1年生の杉浦とよさん(13)は「矢を射るまでの作法がきれいだった」と話し、弟の凪さん(10)は「的が遠かったのに全部当たっていてすごかった」と笑顔を見せた。