闇を照らす明かりが、心を温める。あの日もそうだった。
1995年1月17日午前5時46分。激震に見舞われた街から一切の光が消えた。暗闇の中で人々は明かりを求め、夜明けを待った。
6434人が亡くなり、3人が行方不明のままの阪神・淡路大震災は17日、発生から30年の時を刻んだ。被災地は祈りに満ちている。
「きょうは娘のことだけを考えて過ごす」。中学生のわが子を亡くした両親が言っていた。会えない時間の分だけ、会いたい気持ちは増していく。みんな、そうだろう。
神戸・三宮の東遊園地。灯籠による「1・17」の文字が浮かび上がった。オレンジ色のともしびが、いつにもましてやわらかく感じる。午前7時現在の来場者は1万1千人。昨年より5千人増。記憶をつなごうとする人々の姿が、そこにあった。
黙とうを終え、夜明けを待った。30年という長い歩みを思い返すように、ゆっくりと空が白んでいった。(上田勇紀)