一戸建てリフォームのトラブルランキング 事象別(住宅相談統計年報2023より)

一戸建てリフォームのトラブルランキング 事象別(住宅相談統計年報2023より)

 家のリフォームを巡るトラブルが増えている。住宅のさまざまな相談に応じている公益財団法人「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」のまとめでは、リフォームに関する電話相談は15年間で5倍以上に急増。相談者は50~60代だけで全体の半数を占めている。相談件数の多いトラブルのランキングもまとめた。(山岸洋介)

 ■夢が台無しに

 50~60代は子どもの独立や仕事からの引退をきっかけに、自宅のリフォームに取り組む人も多い。「新たな生活を実現したい」「老後に備えて住みやすい家にしたい」という夢が、トラブルによって台無しになるリスクが浮かんだ。

 同センターによると、2022年度に寄せられたリフォームの相談は約1万2千件。そのうち法令や補助金などに関する一般的な問い合わせ・相談も約3割あったが、トラブルに関する相談が6割超を占めていた。

 年代別では50代が28%、60代が23%。70代以上は20%だった。

 ■もめ事のトップは

 トラブルに関する相談のうち、リフォームによる不具合があったケースを部位別にみると、一戸建て住宅では「屋根・屋根裏」と「外壁」がいずれも約25%で最多。「床」が約13%で続き、その下は「設備機器」「開口部・建具」「外構」「内装」の順だった。

 マンションなど共同住宅では「床」が約31%でトップ。次いで「設備機器」が約23%、「内装」が約20%あり、その下は「開口部・建具」「外壁」「内壁」と続いた。

共同住宅リフォームのトラブルランキング 事象別(住宅相談統計年報2023より)

一戸建てリフォームのトラブルランキング 部位別(住宅相談統計年報2023より)

 またリフォームによる不具合を事象別にみると、一戸建て住宅では外壁や屋根などの「はがれ」が最多。「雨漏り」が次ぎ、部材や設備の「性能不足」が3番目に多かった。共同住宅では床や内装などの「変形」が最も多く、内装や床、外壁などの「はがれ」が続き、「性能不足」が3番目だった。

共同住宅リフォームのトラブルランキング 部位別(住宅相談統計年報2023より)

 トラブル相談のうち、不具合に起因するものではなく、追加費用を請求されるなど「契約に関する相談」も全体の2割超あった。

 ■業者選びがすべて

 トラブルを防ぐ上で最も大切なのは、良質な施工業者を選ぶことに尽きるが、初めてリフォームを依頼する人にとっては簡単ではない。

 同センターは、契約前に見積書を送付すれば専門家が無料でチェックしてくれるサービスも行っており、活用を呼びかけている。

 また、訪問営業があってもその場では契約しない▽一人で決めず、同センターの電話窓口「住まいるダイヤル」に相談する▽複数の業者から見積書を取る▽業者との交渉は細かく記録しておく▽工事後の不具合に補修費用が支払われるリフォーム瑕疵(かし)保険に登録している業者かどうかを参考にする-と呼びかけている。

   ◆   ◆

 同センターによると1件のトラブルにつき不具合が複数カウントされている事例が含まれるため、ランキング表の合計が100%を超える場合があります。

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