眠る女性(blanc/AdobeStock)

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 睡眠について悩みを抱えている人は少なくないでしょう。どうすれば「質の良い睡眠」を取り、快適な日常を送ることができるのでしょうか。睡眠環境・寝具指導士の志水康二さん(52)に、布団や枕など寝具の選び方について聞きました。(斉藤正志)

 -安眠するために寝具は選んだ方がいいのでしょうか。

 「睡眠は体だけでなく、脳を休ませ、寝ている間に記憶を定着させたり、感情を整理したりします。大量の酸素が供給されることで、脳の中の老廃物を排出し、リフレッシュします」

 「成長ホルモンの分泌や脂肪の分解、免疫力向上なども促され、睡眠は健康な生活に大変重要です。そのために、できるだけ深い眠りについた方がいいのですが、安眠を手助けする寝具の影響は大きくなります」

質の良い睡眠を取るための寝具の選び方について話す睡眠環境・寝具指導士の志水康二さん=姫路市飾磨区構1

 -敷布団やマットレスはどう選べばいいですか。

 「人間は立った時の姿勢が背中側でS字カーブを描いており、できるだけそのままの姿勢で寝るのが望ましいんです」

 「体の重さの比率は、頭が8%、肩口が33%、腰や尻が44%、足が15%とされています。寝た時に、重さのある肩口や腰・尻が沈み込み過ぎると、S字カーブが崩れてしまいます。体圧を分散してくれる物を選ぶことをお勧めします。ウレタン素材の体圧分散敷布団などは、理想的な姿勢を維持してくれます」

 -硬さはどのように考えて選べばいいですか。

 「体格や体重に合わせて選んだ方がいいです。細身で体重の軽い人が硬めを選ぶと、寝ていて体が痛くなることがあるので、軟らかめがいいです。がっちりした体格で体重の重い人なら、硬めを選んだ方がいいでしょう。また腰痛の人は軟らかいのは避けた方がいいでしょう」

腰などにかかる負担を和らげる体圧分散敷き蒲団=姫路市飾磨区構1

 -長く使っていると、形がつぶれてボリュームがなくなることがあります。

 「マットレス状の体圧分散敷布団などは、ウレタンが高密度になるほど、へたりが少なくなります。三つ折りで中身を入れ替えられる商品なら、へたりやすい尻部分の中身を、他の二つの部分とローテーションしながら使うことで、へたりにくくなります」

 -マットレスや体圧分散敷布団などは、価格に幅がありますが、どのように選べばいいですか。

 「ウレタンは密度によって価格が変わってきます。体圧分散敷布団は2万円台から15万円くらいするものまであります。へたりが少ないと、購入当初の理想的な寝姿勢を長く保てることになります」

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 寝具の選び方<2>では志水さんに掛け布団、枕の選び方について聞きました。

安眠 寝具の選び方〈2〉オーダー枕はなぜ良いか 高すぎるといびきの原因に

【志水康二(しみず・こうじ)】 神戸市垂水区出身。大学卒業後、精密機器メーカーを経て、2014年に寝具販売の「つゆき」(徳島市)に入社。現在は営業本部店舗運営部長。18年に日本寝具寝装品協会の「睡眠環境・寝具指導士」の資格を取得した。