「外国人観光客は戻りましたか?」とよく聞かれます。

 コロナ前の外国人観光客の多くはアジア系の人がほとんどでした。しかし、4月以降ぐらいから欧米系の外国人観光客の姿が多く見られるようになりました。これが最近の有馬の街の特徴です。では欧米系の人たちは、何を見て、どういうルートで、何を目的に有馬温泉に来ているのでしょうか。

 有馬温泉観光総合案内所に週1日ですが、ウクライナ人の女性が勤めています。彼女に欧米系の外国人観光客を中心にヒアリングをしてもらっています。多くの人たちは交流サイト(SNS)を通じて有馬を知ったと思うのですが、彼らを引き付ける有馬の魅力は何だったのだろうかと興味があります。

 かつて、大阪にホームステイに来ていたフランスの大学院生を有馬に誘致して旅館や日本料理の体験をしてもらい、彼らに有馬の海外発信の策を考えてもらっていたことがあります。彼らは日本語が堪能で、何で勉強したかというとスタジオジブリやドラゴンボールなどのアニメだったのです。

 彼らの好きなスタジオジブリの光景が有馬温泉にあるのではないかと想像しています。

 「京都より空いていて良かった」と湯本坂の感想を述べてくれた欧米系の観光客がいました。われわれ日本人は、イギリスやフランス、ドイツなどのヨーロッパの古い街並みを見て、違いが分かるでしょうか? それと同様に、京都の三年坂と有馬の湯本坂の区別がついていないようです。しかし、長年にわたり有馬の街並み景観を整えてきた成果だと思っています。

 有馬は京阪神に近い立地ですので、いわゆる「ゴールデンルート」と呼ばれる東京、箱根、富士山、京都、大阪から足を延ばしてもらっているということです。

 政令指定都市にある定山渓(じょうざんけい)温泉(札幌市)、秋保(あきう)温泉(仙台市)と姉妹提携を結んでいます。この夏、その3温泉が有馬に集まり、一つの約束をしました。遠く離れた地域の人は、有馬温泉の名前を知っていても神戸市にあるということをあまり知らない。それは定山渓も秋保温泉も同じだということで、「北都」札幌・定山渓温泉、「杜(もり)都」仙台・秋保温泉、そして、「港都」神戸・有馬温泉と表記しようと決めました。それをそれぞれが発行している広報資料などに加え、大都市近郊の温泉地を共にPRして場所の認知度の向上を図り、共に誘客しようと約束したのです。(有馬温泉観光協会)