金融機関の窓口を訪れ、高額出金をしようとした高齢男性を説得し、SNS型投資詐欺の被害を未然に防いだとして、兵庫県警三田署は、中兵庫信用金庫三田支店(同県三田市三田町)に署長感謝状を贈呈した。「詐欺ではない」と信じる男性を30分以上かけて説得した職員は「どうにかして止めてあげないとと必死だった」と振り返った。(谷川直生)
同支店職員の高見絵梨さん(34)は10月16日、窓口で「100万円を出金したい」と話す男性客(80)に対応した。目的を尋ねると「投資」と答えたが、「PayPay(ペイペイ)に振り込む」「誰の口座か分からない」「両替したらお金が増えるらしい」などと曖昧な話も多く、高見さんは「おかしい」と感じたという。
男性にスマホを見せてもらうと、LINE(ライン)で見知らぬ相手から「お金の増やし方」を説明する動画が送られてきていた。いら立つ男性に、高見さんは「どうしても出金できない」と伝え上司に相談。定本浩明支店長(53)らも加わって説得を続け、通報で駆け付けた同署員に引き継いだ。
同支店では朝礼や終礼で日頃から詐欺の手口を確認しており、「ラインでやりとり」も注意すべき事項として共有していたという。高見さんは「時間をかけることで落ち着いてもらえた。いいことができてよかった」と話した。
また、同署は架空請求詐欺で電子マネーを購入しようとした女性(72)の被害を未然に防止したとして、セブン-イレブンハートインJR新三田駅前店(福島)の市来秀美店長(39)とアルバイトの小林直子さん(39)にも感謝状を贈った。
贈呈式では、南沢英志署長が「県内の被害は過去最悪で、三田市でも被害は多い。水際で防ぐには、金融機関やコンビニの協力が必要。引き続きお願いしたい」と感謝を伝えた。
























