新旧のガジロウを見比べる子どもたち=福崎町西田原
新旧のガジロウを見比べる子どもたち=福崎町西田原

 辻川山公園(兵庫県福崎町西田原)の池から毎日顔を出し、来園者を驚かせているカッパのガジロウが、新たな体に生まれ変わった。長年の「池勤務」で髪はチリチリに、肌の塗装もはげていたため、福崎町がふるさと納税などで更新費を募ったところ、想定を上回る寄付があった。今月、新旧の引き継ぎ式があり、ファンらがねぎらいの言葉をかけた。(喜田美咲)

長年の池勤務 髪はチリチリ、肌の色もはげ…

 ガジロウは同町出身の民俗学者・柳田国男の著書に記された市川のカッパ伝説から着想を得て、2014年に誕生した。これまで同公園では、2基目(2号機)が稼働していた。

 夏場は特に全身に藻が張るため、町職員が毎週磨いてきたが、老朽化に伴い塗装がはがれるように。新しい体に更新しようと、今年7~9月、ふるさと納税を活用したクラウドファンディング(CF)で費用を募った。目標金額は170万円だったが、振り込みなどの直接の寄付を合わせて、351人から計約313万7千円が集まった。

 新設された3号機は強化プラスチック製で高さ約90センチ。2号機から大幅な構造の変更はないが、手に持つカッパの好物「尻子玉」(人間の架空の臓器)と、それを食べようと開いた口を以前より大きくし、さらに迫力を出した。塗装前の下地も赤く染めてはげを目立ちにくくしたほか、池で映えるよう、以前より体の赤色を鮮やかにした。

 21日の引き継ぎ式では、池の水を減らして2号機の体があらわになると、留め具を外して運び出し、池の前で3号機と並べて展示。ガジロウが好きでこれまで10回以上同町を訪れているという西宮市立平木小2年の金谷りいさん(8)は「大きな口でちょっと怖いところがかっこいい。2号機にはよく働いたね、3号機には頑張ってと伝えたい」と笑顔を見せた。

 寄付金は2号機の修繕費や、新たな働き先の整備費にも充てるという。2号機はカッパがいたと伝わる川辺の岩「駒ケ岩」(同町南田原)付近に設置することを検討している。