多彩なボードゲームが楽しめる「B-CAFE」を営む大坪尭央さん=姫路市二階町
多彩なボードゲームが楽しめる「B-CAFE」を営む大坪尭央さん=姫路市二階町

 姫路市二階町のボードゲームカフェ「ドイツゲーム喫茶 B-CAFE(ビーカフェ)」が、今年で開店10周年を迎えた。2年前には火災で店舗が全焼し、千種類以上のゲームを失った。しかし、約600人から支援を集め、復活にこぎつけた。オンラインゲームが主流となる時代に、若者たちが顔を合わせて「アナログな遊び」を楽しみ、交流する場として支持を集めている。(小谷千穂)

 代表の大坪尭央(たかひろ)さん(34)は宍粟市出身。19歳のころ、姫路で1人暮らしを始めた。近くに友達をつくる目的で、インターネットで参加者を募っていたボードゲーム交流会に行ってみた。積極的に人と話すタイプではなかったが、月2回の交流会に通う中で、「遊びながら自然に会話が弾む」というボードゲームの魅力を知ったという。

 その交流会でカフェの共同代表、黒田尚吾さん(42)に出会った。黒田さんに誘われ、仕事をやめて2016年8月から姫路市紺屋町でボードゲームカフェを始めた。ボードゲーム大国とされるドイツから「ドイツゲーム喫茶」と名付けた。

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 店には陣取りゲームや物語の創作系、推理系など多彩なジャンルのゲームを置いた。店員がルールを説明し、初対面の客同士でも相席で遊べるようにした。

 大坪さんは「2、3年続けばいいかな」と軽い気持ちだったというが、口コミで徐々に客が増えた。客層は20~40代。転勤や進学で姫路に移り住み、地域に溶け込めず孤立感を抱えていた人の居場所にもなった。

 店独自でボードゲーム10種類を制作し、ネットなどで販売も始めた。自己啓発本の表紙をデザインする設定や、ボーイズラブのストーリーを考える作品もあり、全国にファンを獲得した。新型コロナ禍でカフェが営業できなくなった際は、自作ゲームの売り上げで乗り切った。

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 順調に営業を続けていた24年4月、大きな試練が降りかかった。当時店が入っていたビルで火災が発生した。店とは別の一室が火元だった。

 店は定休日で人はいなかったが、壁や天井は焼け焦げ、ボードゲーム計約1100種類のほとんどや、イスやテーブルなどを失った。買い直せない貴重なゲームも複数あった。

 大きなショックを受けつつ、再起に向けて寄付を募った。600人ほどから約650万円が集まった。全国から応援の声もあり、「閉店を考える隙もなかった」。同年12月に現在の店舗に移転し、営業を再開。一からそろえたゲームは現在700種以上に達した。現店舗は広さが前の2倍で最大25人が入り、常時平均10人ほどが来店する。

 10年を振り返り、「来店をきっかけに仲間やパートナーができて『姫路に来てよかった』と言ってもらえるのがやりがい」と大坪さん。「スマートフォンがあれば何でも楽しめる今、人との交流から楽しみを見いだしてもらいたい」と、今後も店を続ける決意をにじませた。

 1人1時間550円(1ドリンク制、相席ありの場合)。営業時間は午後1~10時(日によって変動あり)。月、木曜日休み。ドイツゲーム喫茶B-CAFETEL050・7110・7197