神戸市教育委員会=神戸市中央区東川崎町1
神戸市教育委員会=神戸市中央区東川崎町1

 神戸市教育委員会は13日、不登校の児童生徒に対する支援の基本方針を策定したと発表した。多様な学びの場の確保に向け、兵庫県内で初めて子どもたちの実態に応じた教育課程が編成できる「不登校特例校」の設置などを盛り込んだ。

 不登校の児童生徒は全国的に増加しており、神戸市では、2021年度の市立小中学校で2974人と、17年度と比べて約1・7倍になっている。基本方針は、このような現状や、文部科学省が今年3月に不登校対策を公表したことなどを受けて策定した。

 方針では、支援策の一つとして、25年4月までに不登校特例校開設を目指すとした。想定では対象は中学生で、既存の公共施設を校舎のように使うという。

 ほかにも、教室以外の居場所として校内のサポートルームの整備を進めたり、臨床心理士にオンラインで相談できる窓口を開設したりする。23年9月には、総合教育センター(中央区東川崎町1)内に電話窓口「不登校支援相談センター」を設ける予定という。

 このほか市教委は、学校に関する悩みを直接受け付ける投稿フォーム「お困りごとポスト」を今月14日から、ホームページ内に設けると発表した。併せて市立学校園には順次、切手不要の「手紙版」を設置する。(大橋凜太郎)

【不登校特例校】不登校の児童生徒たちの実態に応じた教育課程を設けている学校。授業時間の削減などが可能になる。2023年4月1日現在、全国に24校(公立14校、私立10校)が設置されている。17年に施行された「教育機会確保法」では不登校の児童も教育から取り残されないように、不登校特例校の設置が国と自治体の努力義務とされ、文部科学省も設置を促す。長期的には、300校まで増やす目標を掲げている。