流言をそのまま報じた1923年9月2日の神戸新聞号外。「鮮人などは非常に横暴を働いて」とある(その部分を青色に加工しています)
流言をそのまま報じた1923年9月2日の神戸新聞号外。「鮮人などは非常に横暴を働いて」とある(その部分を青色に加工しています)

 「朝鮮人が井戸に毒薬を投入した」-。100年前の関東大震災で被災地に広がった流言やデマは、朝鮮人虐殺という惨劇につながった。それからも災害のたびに根拠のない偽情報が出回り、現代ではSNS(交流サイト)などを通じて拡散するケースもある。救援活動の手を止めかねないデマが、混乱に乗じて広がるのはなぜか。真偽不明の情報にどう向き合うべきか。

■「情報の空白」

 関東大震災は1923年9月1日の正午前に発生した。警視庁がまとめた「大正大震火災誌」には、確認されたデマと時間が記されている。最初の記録は地震から約1時間後の午後1時ごろ「富士山に大爆発、今なお噴火中」というもの。同じ時刻に「さらに大地震が来襲する」ともある。