黒い砂で覆われた小高い山の斜面に、赤茶けたれんがやブロックを積んだ建物が密集している。
観光客でにぎわう首都リマの中心部から、車で30分余り。洗練された都会の高層ビルは消え、隣同士が窮屈に肩を寄せ合う簡易な住宅群が現れた。
南太平洋に面した南米ペルー。近年、急速な経済発展を遂げ、人口の3分の1に当たる1千万人がリマに集中する。少なくとも5万人以上が犠牲になった1970年のペルー大地震など地震災害は繰り返し起きているが、住宅の耐震化率は2割止まりと日本の4分の1ほど。住まいはもろく、防災意識は薄い。