煙突や縦長窓が並ぶ格調高い姿の旧尼崎紡績本社事務所。シンポジウム前に見学会が開かれた=尼崎市東本町1
煙突や縦長窓が並ぶ格調高い姿の旧尼崎紡績本社事務所。シンポジウム前に見学会が開かれた=尼崎市東本町1

 1900(明治33)年に完成した国の近代化産業遺産・旧尼崎紡績本社事務所(前ユニチカ記念館)=兵庫県尼崎市東本町1=は、同市に残る最古の洋館建築だ。2020年に所有者の繊維大手ユニチカが解体方針を示したが、今年3月に市有化。現地保存が決まった。ただ、耐震化や活用策はこれから。赤れんがの建物と歴史を次代に伝えようと、専門家や市民の知恵を借り、再公開の道を模索する。(田中真治)

 「建物を残すことに精いっぱいで、今後については検討が始まったばかり」

 10月22日、日本建築学会近畿支部と尼崎市教育委員会主催のシンポジウムで、市立歴史博物館の桃谷和則学芸員は経緯を振り返り、打ち明けた。