街頭で連立政権の意義を訴える小泉進次郎元環境相=5日午後、尼崎市内
街頭で連立政権の意義を訴える小泉進次郎元環境相=5日午後、尼崎市内

 自民、公明両党の兵庫県組織が5日、同県尼崎市内で異例の合同国政報告会を開いた。同市が選挙区の衆院兵庫8区は1999年の連立政権発足以降、公明がほぼ指定席としてきたが、次期衆院選では野党第1党を狙う日本維新の会が初参戦し、激戦が見込まれる。低迷が続く内閣支持率に自公の危機感は強く、結束を確認する狙いだが、自民側には懸念もくすぶる。

 6日には神戸市内でも同様の集会があり、同じく公明が議席を維持する兵庫2区(神戸市兵庫、北、長田区、西宮市北部)の連携強化を図る。

 関係者によると、両日とも公明側の要請で開催が決まった。非公開だったが、出席者によると、尼崎での会合には自民側が集めた党の支持者ら約500人が参加。兵庫8区の公明現職に加え、自民の小泉進次郎元環境相が演説した。

 2人は会合に先立ってJR尼崎駅前でもマイクを握り、小泉氏は「維新が改革というなら、自公は維新以上の改革をするしかない。実現力を持っているのは自公だ」と訴えた。

 一方、公明との選挙協力を巡っては、兵庫の自民から複雑な声も漏れる。

 隣の大阪では前回の2021年の衆院選で、維新が府内19選挙区のうち15勝を挙げ、自民は全敗。公明が議席を守った4選挙区でも、次回は維新の挑戦を受ける。自公は全面対決に向けて関係強化を加速させ、合同選挙対策本部の設置や共通公約も検討する。

 ただ「公明との相互依存を強めれば、支持基盤が細る」と自民の兵庫県議は懸念する。実際、今年4月の県議選で、自民は兵庫2区の神戸市兵庫区と長田区で現職が落選し、同8区の尼崎市でも議席を2から1に減らした。先の県議は「長年、公明を支援し続けた結果、組織が弱体化した」と分析する。

 県連幹部も「合同選対や共通公約までは考えていない」とし、大阪の動きとは一線を画する。が、県内の小選挙区でも創価学会を支持母体とする公明の組織票がなければ当選が遠のく事態も想定され、「選挙区によっては協力に濃淡が出る可能性もある」とする。

 次期衆院選で、2区は立憲民主党と共産党、8区は共産党と参政党も候補擁立を決めている。(田中陽一)