阪神・淡路大震災の記憶を写真や映像といった視覚に限らず、音や匂いなどの感覚でとらえ直すフィールドワークに、関西学院大(西宮市)の学生が挑んだ。あのとき消防士が耳を澄ました声、遺体安置所の匂い、視覚障害者が感じた世界…。体験者から聞き取りを重ねるうち、29年前の震災が目の前で「生々しく立ち上がってきた」という。(中島摩子、名倉あかり)
■元消防士、救助呼ぶ声に耳澄ます
指導したのは同大社会学部の金菱清教授(48)=災害社会学。2020年春まで東北学院大教授を務め、東日本大震災の被災地でフィールドワークを重ねた。
災害の記憶は目にしたこと、つまり視覚優位で語られやすい。金菱教授は視覚だけでは大事なことを見過ごす可能性があると考え、4年生14人と五感を手がかりに阪神・淡路大震災を見つめ直すことにした。

























