おせち料理に欠かせない黒豆の歴史や魅力を広めようと、豆製品大手のフジッコ(神戸市東灘区)や兵庫県丹波篠山市の生産者らが、徳川8代将軍吉宗らに黒豆を献上した習わしを約160年ぶりに復活させた。テレビ時代劇「暴れん坊将軍」で吉宗役を演じた俳優松平健さんも加わり、東京・上野東照宮金色殿で黒豆奉納式が行われた。
同社などによると、丹波国篠山藩(現在の丹波篠山市)が1846年と56年、江戸幕府に黒豆を献上した記録が残るという。献上を機に、全国に黒豆が広がったとされる。
そこで、同社や黒大豆卸の小田垣商店(同市)、地元生産者らが連携して実行委員会をつくり、おせち料理で需要が高まる年末に合わせて13日に奉納式をした。吉宗のほか、初代家康や15代慶喜らが祭られた上野東照宮金色殿で史実にのっとり、松平さんが今年収穫された丹波篠山産の黒豆「丹波黒」を献上した。
松平さんは「こういう歴史があったということを初めて知った」と語り、「『いつものお礼です。吉宗役をさせていただいてありがとうございます』と(伝えた)」と笑顔を見せた。
実行委は式に合わせ、黒豆をデザインしたお守りや約300年の歴史をまとめた冊子も作り、おいしさや栄養価の高さをアピール。奉納式は来年以降も続けたいという。(末永陽子)