トレーナーを背中に乗せたまま、プールのへりへと巨体を滑らせるシャチ=神戸市須磨区若宮町1、神戸須磨シーワールド(撮影・笠原次郎)
トレーナーを背中に乗せたまま、プールのへりへと巨体を滑らせるシャチ=神戸市須磨区若宮町1、神戸須磨シーワールド(撮影・笠原次郎)

 1日にオープンした「神戸須磨シーワールド」は、オルカスタディアム、ドルフィンスタディアム、アクアライブの3棟で構成される。目玉となるシャチやイルカのパフォーマンスをはじめ、展示に工夫を凝らし、楽しみながら水の生き物の生態を学べる水族館を目指す。新たな愛称は“新スマスイ”か、“スマシー”か。神戸の新スポットの見どころは多彩だ。

 ■目玉はやっぱり…

 新水族館に加わったのが、雌のシャチで親子の「ステラ」(推定38歳)と「ラン」(同18歳)だ。これまで国内でシャチを飼育していたのは鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)と名古屋港水族館(名古屋市)のみ。西日本では唯一見られる展示施設となった。

 2頭は、四つのプール(総水量約8500トン)を擁した「オルカスタディアム」で飼育される。須磨海岸をバックに、体長5メートル以上の巨体が跳びはねる様は壮観だ。客席の前方は広い範囲が「水かぶり席」となる。

 施設の1階部分にはシャチを眺めながら食事できるレストランを配置。室内と水槽を仕切るのは、幅21メートル、高さ2・7メートルの巨大なアクリル板。運がよければ、親子が体を寄せ合って泳ぐ様子も見られる。

 ■“スマスイ”らしさも

 旧須磨海浜水族園でも人気者だったバンドウイルカは「ドルフィンスタディアム」で会うことができる。飼育員と息ぴったりのパフォーマンスは健在。プールの一角ではイルカと触れ合える体験プログラムが楽しめ、1階部分の「ドルフィンホール」から水中の様子も観察できる。

 シーワールドのもう一つの柱が、旧水族園本館の魚類の9割を受け継いだという「アクアライブ」だ。川の上流から中流、河口、海と多様な環境を水の流れに沿って再現し、生き物を自然に近い状態で飼育する。

 シロワニ(サメ)など外洋で生きる魚類を集めた巨大水槽のほか、アシカやウミガメ、ペンギンなどの展示も人気が出そう。生態系で重要な役割を果たす海藻アマモの育成や、砂にもぐって「夏眠」するイカナゴの年間展示など、地元瀬戸内海の自然を意識した水槽もある。(井沢泰斗)