震災で亡くなった千代田さと子さん(右)と長女萌ちゃん(提供)
震災で亡くなった千代田さと子さん(右)と長女萌ちゃん(提供)

 「弱い家」に住み、命を落としたのは高齢者ばかりではない。経済的に余裕のなかった母子家庭にもまた、悲劇は襲った。

 宝塚市の千代田さと子さん=当時(32)=は、4人の子とともに仁川小学校近くの小さな文化住宅に住んでいた。阪神・淡路大震災で全壊。息子3人は救出されたが、さと子さんと長女の萌ちゃん=同(6)=は助からなかった。

 「パン屋で働き、新聞配達もしちょった。苦労ばっかりじゃった」。長崎県・五島列島の両親は以前、取材に語っている。さと子さんは夫と別れ、つましい生活を送っていた。