巨大な橋脚が海に向かって連なる。その先に、世界最大級の連続斜張橋が架かろうとしている。
神戸市で建設が進む阪神高速湾岸線西伸部。六甲アイランド北から神戸・長田の駒栄ランプまでの14・5キロを結ぶ。そのうち、六アイとポートアイランドをつなぐ橋が注目を集めている。
4本の主塔が並び立ち、スパンと呼ばれる主塔間の距離はそれぞれ653メートル。3本以上の主塔を持つ連続斜張橋のスパンとして、世界最大級となる。工事を主管する阪神高速道路会社は「設計には日本の橋梁(きょうりょう)技術の粋を集めた。完成すれば世界的なランドマークになる」とする。
明石海峡大橋が事業化した1985年当時、日本の橋梁技術は「欧米から半世紀遅れていた」とされる。世界最大級のつり橋建設へ向けて、特に神戸・阪神間には「挑戦」的な橋が多く造られ、それが日本の技術力を世界トップレベルへと押し上げた。
「だから」という人がいた。「神戸・阪神間は、魅力的な長大橋が多い、橋の街なんですよ」。連続斜張橋建設を前に、この街の長大橋の歴史をひもといてみたい。(鈴木雅之)
【メモ】 全長約2.7キロの連続斜張橋。最も高い主塔は213メートル。桁下は豪華客船も航行可能な約70メートルを確保する。ベージュを基調とした色合いになる予定。完成時期は未定。ポートアイランド-和田岬間には主塔が1本の斜張橋を建設する予定。