報道陣の取材に応じる斎藤元彦兵庫県知事=29日午前、兵庫県庁
報道陣の取材に応じる斎藤元彦兵庫県知事=29日午前、兵庫県庁

 兵庫県の斎藤元彦知事らを文書で告発した元西播磨県民局長の男性が懲戒処分を受けた後に死亡した問題で、斎藤知事は29日、男性の公用パソコンから見つかった私的情報を井ノ本知明前総務部長らが漏えいした疑いがあるとして、県人事課が調査を検討していることを明らかにした。取材に「私は漏えい行為はないと思っているが、報道が出ているのであれば何らかの対応が必要」と話した。

 斎藤知事は3月20日に告発文書を把握し、21日に片山安孝副知事(当時)や井ノ本氏らに作成者を調べるよう指示。片山氏は25日に男性に事情聴取して公用パソコンを押収した。そこから男性が勤務時間中に私的文書を作っていたことが分かったなどとして、県は5月7日、告発文書作成を含めて計四つの非違行為を理由に男性を停職3カ月の懲戒処分としていた。

 関係者によると、井ノ本氏らは4月以降、調査で得た男性の私的情報を県議らに開示した疑いが持たれている。地方公務員法(守秘義務)違反の可能性があり、県の懲戒処分指針では「公務の運営に重大な支障を生じさせた職員」や「自己の不正な利益を図る目的で漏らした職員」は免職か停職と規定している。

 斎藤知事は「私自身がそのような情報漏えいを指示したことはない」と関与を否定。7月に週刊誌で情報漏えい疑惑を報じられた直後、記事で名前の挙がっていた片山氏、井ノ本氏ら側近4人に事実関係を確認したといい、「それぞれ『そういうことはない』と話していたので、私は信じている」と話した。

 斎藤知事は「調査手法は現在、人事課が検討しているが、おそらく弁護士会を通じて外部の弁護士に依頼することになると思う」とした。

 男性は7月19日に予定されていた県議会の調査特別委員会(百条委)に証人として出頭する予定だったが、同2日に代理人を通じて、告発文書と関係のないプライバシーに関わる資料は開示しないよう求める申し入れ書を提出。同7日に死亡した。自死とみられる。