客と談笑する高井萌さん(左)=尼崎市上坂部3
客と談笑する高井萌さん(左)=尼崎市上坂部3

 看護師が病院を飛び出し、地域の住民と日常的に関わる「コミュニティナース(コミナス)」の動きが広がっている。病気の兆しを察知して医療機関につなげる「まちの保健室」のような役割を担い、コロナ禍で深刻化した社会的孤立などを背景に注目されている取り組みだ。導入する自治体も増えており、阪神間ではカフェやおにぎり店などで実践の輪が広がっている。(地道優樹)

■医療が届きにくい過疎地でも

 コミナスの活動は2011年ごろ、島根県出雲市出身の矢田明子さん(44)が始めた。26歳の時、父親にがんが見つかり、数か月後に急逝。「元気なうちから地域に溶け込んで健康づくりに関わる医療人材がいれば」と感じたことがきっかけとなり、その後、看護師と保健師の資格を取った。病院で勤務する一方、地域に出て住民と何げない会話をしたり、健康相談を受けたりする場をつくった。日々の「楽しい」を一緒につむぎ、心身の健康を支える「コミナス」を提唱するようになった。