植物の栽培や加工を通じて心身の健康回復などを目指す「園芸療法」の対象分野は幅広い。一般にはあまり知られていないが、終末期の患者に対しても一定の効果がある。日本園芸療法学会認定の上級園芸療法士で、兵庫県立淡路景観園芸学校(淡路市)講師の剱持(けんもち)卓也さん(43)は「心身に穏やかに働きかけるのを目の当たりにしてきた」といい、10月下旬に同市である「第31回日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会in淡路島」で実践例を発表する。(井原尚基)
園芸療法の対象となるのは、園芸をしたいけれど、入院中の衰弱や精神疾患などで一人ではできない状況や環境にある人だ。福祉や医療に関する高度な知識を持ち、訓練を受けた園芸療法士が、患者や高齢者の症状を理解し、目標を定めて取り組む。
■人とつながる
剱持さんによると、沈みがちな気持ちを上向かせる▽落ち着きを取り戻す▽毎日水やりをすることで生活習慣を身につける-など、人によって目的はさまざまだ。心と体の健康を取り戻すだけでなく、園芸を通じて他人とのつながりを築くこともできるという。