斎藤知事の県政運営について定例会見で苦言を述べた久元喜造市長=26日午後、神戸市役所
斎藤知事の県政運営について定例会見で苦言を述べた久元喜造市長=26日午後、神戸市役所

 兵庫県の斎藤元彦知事が26日、失職した上で出直し選挙に立候補する意向を固めたとの報道を受け、神戸市の久元喜造市長は同日の定例会見で「選挙に出るならば、なぜ異例の展開になったのかをしっかり説明するべきだ」と述べた。県立大の無償化をはじめとする施策や、斎藤知事の県政運営について苦言を述べる場面もあった。

 これまでの会見でも「県政で普通でない事象が続いている」と懸念していた久元市長。斎藤知事の会見直前に開かれた定例会見で、「なぜ全会一致で議会から不信任決議を受け、失職に至ったのか。職員2人が亡くなる事態になったのか。公益通報の扱いや懲戒処分の判断も含め、異例の展開になった理由と経緯を出直し選でしっかりと説明してもらいたい」と強い口調で求めた。

 さらに「失職を選択されたので申し上げるが…」と前置きした上で、県立大の無償化について「わずか2%弱の学生のための無償化は非常に不適切でやめてほしい。県全体のことを考えるべきだ」と批判。県庁の再整備に関しては「三宮のリニューアルが進む中、元町だけが抜け落ちている。早く考え方を示していただけないと困る」と訴えた。

 また大阪府の高校授業料無償化の施策は兵庫県内にも大きな影響を及ぼしており、「吉村洋文府知事と一緒に(大阪府で)仕事されていたのに、どうして意見されなかったのか」と指摘。「県立大の無償化も、プロ野球阪神・オリックスの優勝パレードも、大阪府に歩調を合わせた。協調は大事だが、言いなりになっている県政のありようには若干の疑問がある」と、県政運営の主体性に疑問符を付けた。

 今後、出直し選で斎藤知事を支援するか問われると、「今のところ斎藤知事の事務所に駆けつけるとか、街頭演説に参上するつもりはない」と否定した。(井沢泰斗)