手話で支援者らに感謝を伝える原告の女性=神戸市中央区橘通3
手話で支援者らに感謝を伝える原告の女性=神戸市中央区橘通3

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反に当たるとして、聴覚障害がある兵庫県内の女性2人が国に損害賠償を求めた訴訟は24日、神戸地裁(冨上智子裁判長)で和解が成立した。国は2人にそれぞれ1500万円の慰謝料などを支払う。

 神戸市と県内に住むともに60代の女性。80~90年代に帝王切開で出産した際、説明なく不妊手術を受けさせられた。

 原告側の弁護団によると、国の代理人は「あってはならない人権侵害を行い、被害者の心身に長年にわたり多大な苦痛と苦難を与えてきた」と口頭で謝罪したという。

 和解後の記者会見で、藤原精吾弁護団長は「みなさんの力が集まって国を動かした歴史的な事件。今日、ひとつの大きなしめくくりを迎えることができた」とあいさつ。原告の2人は「苦しいことがいっぱいあったが、ようやく和解できた。今後は差別をなくしてほしいと強く願っている」と手話で語った。

 旧法を違憲とし、国の賠償責任を認めた7月の最高裁判決を受け、原告側と政府は9月13日、和解の合意書に調印していた。