2007年の女児刺殺事件で逮捕、送検される勝田州彦容疑者=11月28日、神戸市中央区
2007年の女児刺殺事件で逮捕、送検される勝田州彦容疑者=11月28日、神戸市中央区

 加古川市で2007年、小学2年の女児=当時(7)=が刺殺された事件で、兵庫県警が殺人容疑で勝田州彦(くにひこ)容疑者(45)を逮捕して4日で1週間。17年を経て動いた一連の捜査では、たつの市で06年に起きた小4女児刺傷事件の解明も進む。県警は両事件からほどない09年、少女を襲った連続暴行事件で同容疑者を逮捕したが、両事件への関与は特定できなかった。なぜなのか。捜査が長期化する一因となった経緯を捜査関係者への取材でたどる。

 09年12月6日。県警が報道機関に配布した広報資料には、こう記されていた。

 「傷害事件被疑者の逮捕について/被疑者 勝田州彦」。事案の概要には、姫路市網干区で9月、小学1年の女児=当時(6)=の腹を殴って全治半年の傷害を負わせた-とある。

 記載されていた担当は、凶悪事件を扱う県警本部の捜査1課と現場を管轄する網干署、たつの署。だが、実際に主導したのは、この年の春、子どもへの声かけ事案などの捜査を念頭に発足したばかりの生活安全特別捜査隊だったという。

 当時の捜査員によれば、生安特捜は、姫路市や隣接する播磨地域で相次ぐ未成年の少女を狙った暴行事件が、連続犯による可能性も視野に捜査。勝田容疑者を特定して裏付けを進め、捜査1課に引き継ぎ、逮捕につなげた。

 ただ同課は、殺人などの重大事件を扱う強行犯係ではなく、署の捜査をフォローする支援係を投入。生安特捜が主導したことを見ても、発生事案への対応との印象が濃かった。

 重大事件への関与を本格的に調べるという態勢ではなかったが、かといって過去の未解決事件を視野から外していたわけではない。

 たつの市で06年9月、小学4年の女児=当時(9)=が刃物で刺されて重傷を負った殺人未遂事件-。捜査員たちの胸中には疑念が浮かんでいた。

<手口や心証、薄れた疑念 「連続暴行」と「たつの刺傷」二つの事件つながらず>