30年前の写真を手に、亡くなった長男忠宏さんのことを話す和泉喜久男さん=西宮市江上町(撮影・小林良多)
30年前の写真を手に、亡くなった長男忠宏さんのことを話す和泉喜久男さん=西宮市江上町(撮影・小林良多)

 だれも明日の悲劇を知らなかった。最後の夜になるなんて思いもしなかった。1995年1月16日。西宮市江上町の小学4年生、和泉忠宏さん=当時(10)=は、父と祖父の3人で神戸に遊びに出かけた。カメラを向けられると、この日に限って嫌がったことを父は覚えている。夜には一人で寝るのが「怖い」と言って両親に甘えた。翌17日、阪神・淡路大震災。忠宏さんは亡くなった。(井原尚基)