百条委員会の調査報告書案が固まり、取材に応じる奥谷謙一委員長=3日午後、兵庫県議会
百条委員会の調査報告書案が固まり、取材に応じる奥谷謙一委員長=3日午後、兵庫県議会

 斎藤元彦兵庫県知事らへの告発文書を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の協議会が3日に非公開で開かれ、調査報告書案が確定した。関係者によると、これまでの県の対応について「全体を通して客観性、公平性を欠いており、行政機関の対応として大きな問題があった」などと総括した。4日に公開で開く百条委会合で正式決定し、5日の本会議に提出する。

■公益通報保護今なお「違反」か/パワハラ疑惑「おおむね事実」

 また、報告書案は斎藤知事に対し「兵庫県の混乱と分断を一刻も早く解消すべく、県民に説明責任を果たすことを強く申し入れる」とも要請している。

 報告書案は、告発文書に記された七つの疑惑に関して、県職員の事前選挙活動や知事選に向けた投票依頼という2項目を除いて「一定事実が確認された」と判断。公益通報者保護法上の県の対応を巡っては、斎藤知事が説明してきた「真実相当性がなく、誹謗中傷性の高い文書」との主張や、片山安孝元副知事が証人尋問などで述べた「不正目的で作成された文書」とする見解を退け、文書は同法が定める外部公益通報に「当たる可能性が高い」とした。

 その上で、文書の内容を調査せずに通報者を探して元西播磨県民局長を特定し、死亡した元県民局長の私的情報が漏えいした事実などに触れ、「現在も(公益通報者保護法)違反状態の可能性がある」とした。

 また、知事のパワハラ疑惑でも文書の記載内容は「おおむね事実」と認定。「パワハラ行為と言っても過言のない不適切なものだった」と結論付けた。

 そのほか、元県民局長を停職3カ月とした懲戒処分についても言及。素案は元県民局長の名誉の回復と処分の撤回を求める提言が記されていたが、異論が出て削除された。3日に示された最終案では「不利益な取り扱い、範囲外共有、通報者の探索が行われた場合に、その行為をした労働者や役員らに懲戒処分、救済・回復など適切な措置をとる」との同法の規定が盛り込まれ、県にこうした措置を求めることで合意した。

 報告書をまとめる協議では、第2会派「維新の会」が県の対応に一定理解を示す態度だったが、百条委副委員長だった岸口実氏と、委員だった増山誠氏が真偽不明の情報や非公開の情報を政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に提供した問題を受け、意見の多くを撤回した。

 協議会の終了後、奥谷謙一委員長は「意見の隔たりもあったが、協議を重ねる中で合意点を見いだせた」と話した。