兵庫の代表的なNIE(教育に新聞を)活動校のひとつ、姫路市立豊富小中学校(同市豊富町御蔭)が、今年夏に神戸市内で開かれる「第30回NIE全国大会神戸大会」で公開授業と実践発表を行う。同校のNIE活動をけん引する、前期課程(小学校)の川村かおり教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)に大会に向けた取り組みや、NIEへの期待を聞いた。(聞き手・兵庫県NIE推進協議会事務局長 三好正文)
-神戸大会での公開授業や実践発表の内容は。
公開授業は、小学生が全国各紙の「こども新聞」に載った同一テーマの記事を読み比べます。実践発表は、中学生による観光都市姫路や世界文化遺産・国宝姫路城の魅力を伝える取り組みを紹介します。今、子どもたちが新聞4紙(デジタル版含む)2年分から、姫路の気になる記事を探しています。
-長年、NIEを実践してきた。
「調べる力」を鍛えるには新聞が有効と考え、まず、小中学校別々に実践し、2020年4月、本校が9年制の義務教育学校として開校したとき、特色ある取り組みに「NIE推進」を掲げました。
新聞を「つかう」「つくる」活動を進めてきました。オンラインを含めた「まわしよみ新聞」作り、神戸新聞の新聞作りアプリ「ことまど」を使った紙面製作、新聞紙スリッパ作り、などから始め、今では新聞のある風景が日常になりました。
-最近の取り組みは。
24年度からは週1回、朝の時間を「NIEタイム」とし、小中通して多様な活動を続けています。小学高学年は、朝日小学生新聞のコラム「天声こども語」を書き写したりしています。
授業支援アプリ「クラスクラウド」も導入しました。それぞれが気になった記事をアップし、ほかの子どもが「他者参照」でコメントを書き込んだり、「いいね!」を付けたりする。ほかの人の意見を知ることで、自身の考えが深まるようです。
-NIE活動で目指すものは。
児童・生徒が自身で情報を取捨選択し、発信する「メディアリテラシー」を育むことです。記事を読み比べることで、まとめ・表現の力も育ちます。最近、時事問題に関心を持つ児童が増えたのがうれしいです。
神戸大会には小学生1クラスが参加し、中学生も何人か発表に行く予定です。みなさんにお会いできるのを楽しみにしています。
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NIE全国大会神戸大会は7月31日、神戸ポートピアホテルで、8月1日、甲南大学岡本キャンパスで開かれる。公開授業や実践発表は同1日に行われ、県内二十数校が登壇、県内外の学校などによるポスター発表も行われる。