阪神・淡路大震災をきっかけに保護猫活動を始めた橋本まさ子さん(左から2人目)。志を同じくする会員らも一緒だ=神戸市須磨区
阪神・淡路大震災をきっかけに保護猫活動を始めた橋本まさ子さん(左から2人目)。志を同じくする会員らも一緒だ=神戸市須磨区

 阪神・淡路大震災で、神戸市須磨区の橋本まさ子さん(80)は、避難所となった小学校の玄関先で猫を抱いた女性に出会った。周囲に遠慮して中に入れず、寒空の下に段ボールを敷いて座っていた。声をかけ、自宅で一時引き取った経験がその後の保護猫活動へとつながる。体験をつづったエッセーは、市が募った「こうべ市民文芸」で「震災関連特別賞」を受賞した。(杉山雅崇)

 橋本さんは保護猫グループ「神戸にゃん太の会」の代表。同市須磨区を拠点に、野良猫や捨て猫を保護し、譲渡会を開いて新しい飼い主を探す。野良猫を捕獲して去勢・避妊手術をして元の場所に放す「トラップ・ニューター・リターン(TNR)」なども行っている。

 活動のきっかけは1995年1月の阪神・淡路だった。震災直後、橋本さんは救援物資を届けようと、避難所になっていた同区の大黒小学校(2002年に閉校)へ向かった。その玄関先で猫を抱いて座る高齢の女性に会った。ペットと中に入るのは難しいと思っているようだが、女性の体調も心配だ。猫好きの橋本さんは気の毒に思い「猫をお預かりしましょうか?」と提案した。