大人用おむつのイメージを一新する取り組みに、尼崎市の一般社団法人日本福祉医療ファッション協会が挑戦している。着用する人の心理的な抵抗感をなくすためだ。排せつケアの機能はそのままに、着けて出かけたくなるようなスタイリッシュなデザインを追求。6月には大阪・関西万博(大阪市此花区・夢洲(ゆめしま))の会場でファッションショーを開き「未来のおむつ」を世界に発信した。(岩崎昂志)
■ジーンズ風、着物風、チェック柄…「下着よりおしゃれに」
先月24日、万博のEXPOホール「シャインハット」で開かれた「O-MU-TSU WORLD EXPO(オムツ・ワールド・エキスポ)」。軽快な音楽と光を浴びて登場したのは、おむつを着用しているとは思えないモデルたちだ。
黄と紫色のツートンカラーやジーンズのような自然な形、色鮮やかなチェック柄、伝統工芸とコラボした着物のようなふんどし…。従来のおむつのイメージを覆すデザインがそろい、約1900席が埋まった会場が沸いた。主催した同協会代表の平林景さん(48)は「『ダサい』と思われがちなおむつの価値観をひっくり返せたのでは」と語る。
元美容師の平林さんは、これまでに障害のある人も着やすいファッションブランドを立ち上げ、3年前にはパリで車椅子のモデルによるファッションショーを企画した。おむつに関心を寄せたきっかけは、車椅子を利用する若い女性に聞いた悩みだった。「旅行好きだけど友達とは行かない。おむつ姿を見られたくない」