夏の雲を背景に架かる六甲アイランド大橋のアーチ=神戸市東灘区の六甲大橋から
夏の雲を背景に架かる六甲アイランド大橋のアーチ=神戸市東灘区の六甲大橋から

 アーチ橋には、空が似合う。海上に浮かび上がるシルエットは、山にも似た夏雲の中を行くかのようだ。

 大阪と神戸の海沿いを結ぶ阪神高速湾岸線の「六甲アイランド大橋」。神戸市東灘区の魚崎浜から六甲アイランドにつながっている。

 上段に南行き、下段に北行きの道路が架かる「ダブルデッキ」の構造。すらりと延びた橋脚の上に桁が架かるスレンダーな姿に白い塗装が映え、どことなく気品が漂う。

 橋のアーチ部分を側面から眺める。根元の幅は4メートル、頂点部分は2メートル。アーチが空に向かって緩やかに細くなっていく。一見しただけでは気付きにくいこの曲線美は技術的に難しく、全国でも珍しい造りという。

 大橋は長らく、湾岸線神戸側の実質的な終着点だった。現在はその先、長田区の駒栄まで海上をつなぐ「西伸部」の建設が進む。計画の目玉は、世界最大級の連続斜張橋だ。

 天空のアーチ橋は、夢の長大橋(ちょうだいきょう)へとつながっていく。(鈴木雅之)

=おわり=

【メモ】1990年9月着工、94年4月に開通。阪神・淡路大震災では約3メートル東にずれ、架け直して半年後に復旧した。全長217メートルでアーチ部分の高さは36メートル。大型船の航路をまたぐため、海水面から桁まで32・8メートルの高さを確保している。