浜辺で伝統のバタカケを披露する氏子ら=12日午後、赤穂市坂越(撮影・辰巳直之)
浜辺で伝統のバタカケを披露する氏子ら=12日午後、赤穂市坂越(撮影・辰巳直之)

 瀬戸内三大船祭りの一つとされ、国指定の重要無形民俗文化財の祭礼「坂越の船祭」が12日、赤穂市坂越の大避神社であった。坂越湾を11隻の和船が巡行し、浜辺ではふんどし姿の男衆が板を担いで威勢よく練り回す「バタカケ」を披露。荘厳で華やかな神事に多くの観衆が見入った。

 船祭は、同神社の祭神で、能楽の祖と伝わる秦河勝が飛鳥時代、蘇我入鹿の乱を逃れて坂越湾に浮かぶ生島に漂着したとされる言い伝えに由来する。江戸時代から300年以上、形を変えず受け継がれている。

 みこしを船に渡すための神事「バタカケ」では、ふんどし姿の男衆約30人が長さ約6メートル、重さ約100キロの細長い板を持ち上げ、観客の近くに走り寄ったり、立てた板によじ登ったりしながら7枚を船に架けた。

 その後、みこしや頭人、獅子舞を乗せた和船が連なって河勝の墓所がある生島へ出発。優雅な雅楽の音色が湾内に響き渡った。(橘高 声)