たった1本の弦で奏でる一絃琴(いちげんきん)「須磨琴(ごと)」の継承に取り組む「一絃須磨琴保存会」(神戸市須磨区)が、発足60年を迎えた。郷土ゆかりの楽器という伝説が残り、兵庫県の無形文化財に指定されているが、一時は会員が急減する苦境も経験。現在は会員約110人が伝統を守りつつ楽器改良などの革新を重ねる。11月に記念演奏会を開き、節目を祝う。(岩崎昂志)
琴は13弦が主流とされるが、須磨琴は1枚板に張った1本の弦を使用。指で押さえる場所を変えて音を奏で、弾き語りのように和歌を歌う。音は素朴ながら風雅な趣があり、複数台で息を合わせると和音を表現することもできる。
同保存会によると、平安時代の歌人・在原行平が須磨の海岸で拾った板に冠の緒を張り、即席の琴を奏でて都をしのんだのが始まり-との逸話が伝わる。























