神戸市須磨区で2010年、少年2人が暴行を受けて死傷した事件から29日で15年が過ぎた。加害者のうち加害少年=現在は成人=は刑期を終えたが、加害男性は来年にも刑期満了を見込む。加害者が今後どう生きるのか。事件で亡くなった釜谷圭祐さん=当時(19)=の両親は「生涯かけて罪と向き合うべき。彼らを見届けることが圭祐の命を無駄にしないために親としてできること」と話す。
未明に自宅の電話が鳴り響く。折り返した電話口からは警察官の声が聞こえた。「拉致された可能性があり、捜査をしています」
釜谷さんの父智樹さん(60)=明石市=が見る「一番嫌な夢」の冒頭だ。病院へ向かった智樹さんは警察官に求められ、ストレッチャーに横たわる人物を確認する。顔は腫れて血だらけ。髪形と服装で「息子」と判断するしかなかった。
事件は同年10月に発生した。加害男性は釜谷さんら2人が自分の妹を連れ回していると思い込んで邪推し、倒れた釜谷さんの髪をつかんで立たせ、執拗に殴り、蹴ったという。
治療に入って数時間後、智樹さんは医者から説明を受けた。脳のダメージがひどく、心臓が動くことが不思議な状態。「『何かできるやろう』と言ったはず。ああいう時って覚悟できへんもんやね」とつぶやく。
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