阪神・淡路大震災の発生から30年となった今年の追悼行事。犠牲者を悼み、記憶の継承を誓った=2025年1月17日午前5時46分、神戸・三宮、東遊園地
阪神・淡路大震災の発生から30年となった今年の追悼行事。犠牲者を悼み、記憶の継承を誓った=2025年1月17日午前5時46分、神戸・三宮、東遊園地

 日本新聞協会は3日、2025年度の新聞協会賞を発表した。神戸新聞社の「阪神・淡路大震災30年報道」(震災30年取材班、代表=阪神総局デスク兼編集局編集委員・中島摩子)など7件が選ばれた。10月15日に東京で開かれる第78回新聞大会で授賞式がある。神戸新聞社の受賞は3年連続7度目。

 「30年報道」は6434人が亡くなった阪神・淡路大震災の発生から今年1月17日で30年となるのに合わせ、昨年1月にスタート。震災の教訓を後世に伝え、災害の記憶は発生30年を境に継承が難しくなるとされる「30年限界説」を乗り越えるためのキャンペーン報道を行った。

 貧困や孤立、過疎、高齢化、性差、トラウマ(心的外傷)など現代社会の課題を通して新たな災害リスクを問うシリーズ、30年前の出来事とその後の歩みをたどるシリーズなどを展開。震災学習用のウェブサイト「1・17つなぐプロジェクト」を開設した。

 同協会は「震災で女性死者が多かった原因に迫る連載では、社会的弱者がしわ寄せを受ける構造を明らかにした」などと評価。「『30年限界説』に真正面から挑み、被災地の地元紙として新たな『継承の力』を示した」ことを授賞理由とした。

 協会賞には105件の応募があった。ほかの受賞作は次の通り。

 日本郵便による不当に高額な違約金や不適切点呼をめぐる一連の特報(朝日新聞社)▽長野県石油商業組合「ガソリン価格カルテル疑惑」を巡る一連のスクープ(信濃毎日新聞社)▽「JR貨物脱線事故 破断した腐食レール」のスクープ写真(北海道新聞社)▽写真連載「里海の今」(中国新聞社)▽被爆80年企画「ヒロシマ ドキュメント」(中国新聞社)▽NHKスペシャル「オンラインカジノ “人間操作”の正体」(日本放送協会)

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 神戸新聞社は、23年度に「神戸連続児童殺傷事件の全記録廃棄スクープと一連の報道」、24年度に「里へ 人と自然のものがたり」で協会賞を連続受賞。編集関連の受賞はほかに、「教員間暴力のスクープと神戸の教育を巡る一連の報道」(20年度)▽阪神・淡路大震災10年キャンペーン「守れ いのちを」(05年度)▽京都新聞との合同震災企画「生きる」(1995年度)▽「淡路における住民参加の共同社会開発」(65年度)ーがある。

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 電子版「神戸新聞NEXT」内に、震災学習用ウェブサイト「1・17つなぐプロジェクト」を開設しています。サイトには「震災特集ページ」への案内もあります。

「1・17つなぐプロジェクト」はこちら