兵庫県庁の庁舎=神戸市中央区下山手通5
兵庫県庁の庁舎=神戸市中央区下山手通5

 告発者の保護を規定する公益通報者保護法を巡り、兵庫県が近く、報道機関などに対する外部通報も内部通報と同様に、通報者に対する不利益な取り扱いを防ぐ「体制整備義務」の対象であるとして、県の公益通報制度に関する要綱に明記する方針を固めたことが23日、関係者への取材で分かった。

 現在の要綱は外部通報を保護対象にする記述がなく、要綱の改正で対象にすると明記される形になる。

 公益通報は、組織の違法行為を組織内部の通報窓口(1号通報)や外部の行政機関(2号通報)、報道機関など(3号通報)に告発することを指す。告発文書問題では、報道機関などに作成文書を送った元西播磨県民局長(故人)に対する県の「告発者捜し」などの違法性が問われた。

 同法の法解釈を巡っては、斎藤元彦知事は3月の記者会見で、通報者への不利益な取り扱いを防いで保護措置を求める体制整備義務について「内部(1号)通報に限定されるという考え方もある」と発言した。

 これに対し、同法の法定指針では、外部通報を含めた体制整備義務を行政機関や民間事業者に課すとしており、消費者庁は、知事の発言は「公式見解と異なる」と指摘していた。5月には、同庁が全国の自治体などに3号通報も含め保護を徹底するよう通知。同庁長官は「整備義務が徹底されていない現状が明らかになっている」と通知の理由を述べた。

 斎藤知事のパワハラ行為などが記された告発文書問題では、県が設置し、弁護士で構成する第三者調査委員会が3月、告発者捜しなどをした県の対応を公益通報者保護法に照らして「違法」と判断。一方、斎藤知事は「文書内容は誹謗(ひぼう)中傷性が高く、弁護士とも確認しながら適切、適法に対応した」などと主張し、見解が異なっている。(岡西篤志、井上太郎)